飲食店の固定費を見直す順番|飲食店業界30年以上の経営者の実体験

「飲食店・固定費・費用」について、飲食店や小さな会社の経営者が課題と判断ポイントを確認できるように整理したアイキャッチ画像(別構成2)。実務で見直すべき点と改善の方向性を分かりやすく表している。

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「売上が上がっても手残りが増えない」

「毎月の引落しが何にいくらかかっているか正確には把握していない」

——飲食店オーナーさんから本当によく聞く悩みです。

筆者は1993年から店舗経営に携わり、2005年から法人を経営する現役の飲食店オーナー。固定費を見直すまでは、月55万円もかかっていた固定費が、見直し後には月33万円(年間約25万円削減)まで下がりました。特別な技術は要りません。「見直す」という行動だけです。

この記事は、飲食店の固定費削減を始めるための入口記事です。電気代だけでなく、通信費、家賃、火災保険・店舗保険、キャッシュレス決済手数料、会計ソフトや法人カードによる経費管理まで、どこから見ればよいかを全体像から整理します。

小さな飲食店ほど、売上を増やす前に固定費を整える価値があります。新メニューや広告で売上を追う前に、毎月必ず出ていくお金を一度見える化すると、利益の残り方が変わります。

目次

私が長年の店舗経営で最初に見直す固定費

私は1993年から店舗経営に携わり、2005年から法人を経営していますが、売上が厳しい時に最初に確認するのは固定費です。売上は天気や景気にも左右されるため、すぐに増やすのは簡単ではありません。一方で、固定費は契約内容を見直すだけで改善できるものがあります。

大事なのは、いきなりひとつのサービスを選ぶことではありません。まず全体像を見て、効果が大きいもの、手間が少ないもの、営業への影響が小さいものから順番に手をつけることです。実際に効果が大きかったのは、通信費、電気代、キャッシュレス手数料、保険、そして使っていないサブスクでした。

通信費は通信費削減記事店舗インターネット回線の記事で確認し、決済手数料はキャッシュレス決済手数料が利益に与える影響も参考になります。小さな削減でも毎月続けば年間では大きな差になります。固定費見直しは、利益改善の第一歩だと感じています。

【結論】固定費の目安と削減順序

  • 固定費率は売上の30〜40%以内が目安
  • 家賃は売上の10〜15%以内が黒字経営の目安
  • 削減順序は全体像の把握→手間が少ない項目→効果が大きい項目で考える
  • 削減した分はそのまま利益に残りやすい(売上増加より在庫・人員リスクを増やしにくい)
  • 飲食店業界30年以上の経営者の実績:年25万円削減(電気・通信・保険など)

まず見るべき固定費の優先順位

固定費削減は、金額の大きさだけで判断すると失敗しやすくなります。家賃は大きい固定費ですが、交渉や移転の負担もあります。反対に、通信費や決済手数料は1件あたりの金額が小さく見えても、見直しやすく効果が続きます。

優先順位 見る固定費 年間削減インパクトの目安 見直し方
1 通信費・サブスク 年2〜5万円 明細確認、不要契約の解約、回線プランの見直し
2 電気代 年5〜15万円 使用量の確認、契約アンペア・料金プラン・電力会社の比較
3 火災保険・店舗保険 年1〜5万円 補償の重複、不要特約、一括払いの確認
4 キャッシュレス決済手数料 売上規模で差が出る 決済比率、手数料率、入金サイクルを比較
5 家賃 月額が大きいほど大 更新時期、周辺相場、交渉材料を準備
6 会計ソフト・法人カード 削減漏れ防止・経費管理の効率化 明細を自動集計し、固定費の見落としを減らす

電気代は効果が大きい項目ですが、この記事では固定費全体の入口として、通信費、保険、家賃、決済手数料、経費管理まで順番に見ていきます。

飲食店の固定費を通信費・電気代・保険・家賃・決済手数料の順に見直し、年間25万円削減する流れをまとめた図
固定費は、家賃のようにすぐ動かしにくい費用よりも、通信費・電気代・保険・決済手数料など見直しやすい項目から着手すると成果が出やすくなります。

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飲食店の固定費とは

固定費とは売上の増減に関わらず毎月一定額かかるコストです。原価(変動費)と異なり、売上がゼロでも発生します。

利益の計算式(シンプル版)

利益 = 売上 − 原価(変動費)− 人件費 − 固定費

固定費を1円削減すると、利益が1円増える。売上増加と違い、確実に利益に直結する

飲食店の固定費・項目別の月額目安

固定費の種類 小規模店舗の目安 削減しやすさ
家賃・共益費 10〜25万円 △ 交渉・移転でのみ削減
電気代 3〜8万円 ◎ 新電力切替で削減
ガス代 1〜5万円 ○ 切替・使用量管理で対応
水道代 0.5〜2万円 △ 使用量削減で一定改善
通信費(光・スマホ) 0.5〜2万円 ◎ 格安回線で即削減
保険料(火災・賠償等) 0.5〜2万円 ◎ 見直し・一括払いで削減
リース・ローン(厨房等) 1〜5万円 △ 繰上返済・乗換で対応
POS・システム費用 0〜2万円 ◎ 無料プラン切替可
廃棄物処理費 0.3〜1万円 △ 業者見直しで一定削減

この表で「◎」が付いている項目(電気・通信・保険・POS)から着手するのが最短です。家賃・リースは契約縛りがあるので後回しでOK。

飲食店業界30年以上を経営して分かった、本当に効果があった固定費削減

私は1993年から店舗経営に携わり、2005年から法人を経営していますが、赤字になりそうな時ほど、まず固定費を見直してきました。売上を急に増やすのは簡単ではありません。天気、景気、近隣の工事、常連さんの動きなど、自分では変えにくい要素もあります。一方で、固定費は契約内容を確認すれば、比較的すぐ改善できるものがあります。

実際に効果が大きかったのは、通信費、電気代、キャッシュレス決済手数料の見直しでした。毎月数千円の差でも、1年続けば数万円になります。一度見直すと効果が長く続くので、売上を増やす努力と並行してやる価値があります。決済手数料を含めて見直す場合は、AirペイとSquareの違いを比較した記事も参考になります。

通信費は見直す価値が大きい

店舗インターネット回線や携帯電話料金は、昔より選択肢が増えました。私の店でも通信環境を見直したことで、毎月の固定費削減につながりました。ただし、料金だけで選ぶのは危険です。レジやキャッシュレス決済が止まると営業に影響するため、安定性も必ず見ます。回線選びの考え方は、店舗インターネット回線の記事通信費削減記事で詳しく整理しています。

削ってはいけない固定費もある

何でも削れば良いわけではありません。接客品質に関わる部分、店舗の清潔さ、故障リスクの高い設備メンテナンス、集客につながる最低限の広告費は慎重に判断しています。お客様満足度を下げる削減は、長い目で見ると損になることがあります。

保険も同じで、保険料だけを下げるのではなく、建物・看板・雨漏り・外壁まわりを含めて確認しておくことが大切です。店舗運営のリスク管理として、小さな店舗の火災保険を見直すときの注意点も参考になります。

無駄なサブスクは定期的に確認したい

長年経営していると、契約したまま使っていないサービスが少しずつ増えます。毎月数千円でも年間では大きな金額です。少なくとも年1回は、通帳、カード明細、請求書を並べて、今も必要な契約か確認するようにしています。

業態別の固定費率の目安

業態 月の固定費目安 特徴
カフェ・喫茶店(〜20坪) 20〜35万円 家賃中心・光熱費低め
ラーメン・定食(20〜40坪) 30〜50万円 ガス代・換気設備の電気代が多め
居酒屋・ダイニング(30〜60坪) 40〜70万円 家賃・人件費が高くなりがち
焼肉・鉄板(換気設備多い) 50〜100万円 換気・空調の電気代が圧倒的
テイクアウト・弁当 15〜30万円 家賃・席数縛りが小さい

自分の店の月固定費がこの目安を超えていたら、「◎」項目から見直す価値ありです。

固定費率の適正ラインと費用構成

飲食店の固定費率(固定費 ÷ 売上)は、売上の30〜40%以内に収めるのが目標。FLコスト(原価+人件費)が60%以内の場合、残り40%で固定費をすべて賄い、さらに利益を出す必要があります。

【例】月売上100万円の費用構成

項目 金額 売上比
原価(F) 30万円 30%
人件費(L) 30万円 30%
家賃 15万円 15%
光熱費・通信費・保険等 20万円 20%
営業利益 5万円 5%(ギリギリ黒字)

この例で光熱費・通信費・保険を合計3万円削減できれば、利益率は5%→8%に改善します。固定費削減は削減した分がそのまま利益になる、最も確実な利益改善の手段です。

飲食店業界30年以上の経営者の実例|年間25万円削減した内訳

筆者の店(現在の客単価は約6,500円・席数は約35席)で、実際に削減した固定費の内訳をお伝えします。

項目 見直し前 見直し後 年間削減額
電気代 月 52,000円 月 38,000円 ▲168,000円
通信費(光+スマホ) 月 9,500円 月 7,000円 ▲30,000円
火災保険 年 36,000円 年 12,000円 ▲24,000円
自動車保険(事業用) 年 78,000円 年 40,000円 ▲38,000円
合計 ▲260,000円/年

※上記の電気代168,000円は説明用のモデルケースです。筆者店舗の確定実績として扱う数字ではありません。

見直し作業にかかった時間は合計で約8時間。時給換算で年26万円戻ってくる仕事です。営業内容を変えずに利益を残しやすくなるので、優先して確認する価値があります。

削減のためにやったこと

  1. 電気代:地域大手電力会社→新電力(業務用プラン)に切替(手続き10分)
  2. 通信費:大手キャリアから格安SIM+光コラボに乗換
  3. 火災保険:地震保険の重複を整理(テナントで建物部分は大家が加入済み)
  4. 自動車保険:対面型からダイレクト(ネット)型に切替

どれも「契約を変える」だけ。事業の中身は何も変えていません。これが固定費削減の大きな魅力です。

電気代は、条件次第で大きな固定費削減につながるのが筆者の実感です。電気使用量が多い店舗は、法人・店舗向けの料金条件を一度確認しておくと判断しやすくなります。

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固定費別に見直す主なポイント

① 電気代(年間削減効果:大)

飲食店の電気代は月3〜8万円。新電力への切替だけで年5〜15万円削減につながるケースが多い。業務用エアコンのフィルター清掃・冷蔵庫の設置場所・冷凍機の管理方法でも月単位で差が出ます。

👉 詳細:飲食店の電気代の平均と削減方法飲食店が電力会社を切り替える前に見るポイント店舗の電気代平均

② 通信費(年間削減効果:中)

光回線を格安プロバイダに変えると月1,500〜2,500円、スマホを格安SIMにすると月3,000〜5,000円の削減。年間で合計2〜3万円の削減が可能です。

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👉 詳細:通信費を年間3万円削減する具体的な方法

③ 保険料(年間削減効果:中)

店舗の火災保険・損害賠償保険は「とりあえず入ったまま」が多いコスト。補償内容の重複・不要特約の見直しで年数万円の削減が可能。複数社見積もりで一気に下がります。

👉 詳細:飲食店の保険を見直して固定費を削減

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④ キャッシュレス決済手数料・POS費用

キャッシュレス決済は便利ですが、手数料は売上に応じて毎月発生します。小さな差でも、決済比率が高い店では利益に効きます。まずはキャッシュレス決済手数料が利益に与える影響で、自店の売上規模ならどれくらい差が出るか確認しておくと判断しやすくなります。

有料POSレジを使っているなら、Airレジなど月額費用を抑えやすいサービスへの切替も選択肢になります。Airペイ+AirペイQRと組み合わせれば、決済も同じiPadで管理できます。POSレジ本体の比較は飲食店向けPOSレジの選び方、決済端末で迷う場合は飲食店向けキャッシュレス決済の比較も参考にしてください。

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⑤ 会計ソフト・法人カードで固定費を見える化する

固定費削減で意外に大事なのが、経費管理の仕組みです。通帳、カード明細、請求書を毎月手作業で追っていると、使っていないサブスクや二重契約に気づくのが遅れます。

クラウド会計ソフトや法人カードを組み合わせると、銀行・カード明細から固定費を拾いやすくなります。会計ソフトの考え方は飲食店向け会計ソフトの記事、カード明細との連携は会計ソフトと法人カード連携の記事で詳しく整理しています。

削減しにくい固定費との付き合い方

家賃

家賃は売上の10〜15%以内が目安。20%以上を占めていると、どれだけ原価や人件費を改善しても利益が残りにくい構造です。更新のタイミングで交渉する・移転を検討するのが現実的な対応。

👉 関連:飲食店の家賃交渉|タイミングと準備

リース・ローン

厨房機器・POSシステムのリースは中途解約が難しく、すぐに削減できません。契約満了時にリース継続か買取か比較検討することが重要。残債一括返済で総コストが下がるケースもあります。

固定費を「見える化」する具体手順

固定費削減の第一歩は「今いくら払っているか正確に把握する」ことです。以下の4ステップで30分で完了します。

  1. 引落口座の通帳・WEB明細を準備(過去6ヶ月分)
  2. 毎月発生している固定費を一覧化(Excel・紙でOK)
  3. 項目ごとに月額・年額を計算
  4. 手間が少ない項目(通信・サブスク)と効果が大きい項目(電気・保険・決済手数料)を分けて優先順位を決める

これだけで「あ、このサブスク使ってない」という発見が3件は出ます。筆者も見直し時に、解約忘れの法人携帯1回線(月約2,100円)と使っていない業者向けサービス(月約2,100円)が見つかりました。

クラウド会計ソフトを使えば銀行・カード明細から固定費が自動集計されるので、毎月の変動も把握しやすくなります。法人カードと組み合わせる場合は、固定費の支払い先を分けるだけでも見落とし防止になります。

よくある質問

Q. 家賃は固定費の何%が目安?

売上に対する家賃の目安は10〜15%以内。月売上100万円なら家賃は15万円以内。これを超えると、他のコストとのバランスを取るのが難しくなります。

Q. 固定費と変動費の違いは?

固定費は売上に関わらず毎月かかるコスト(家賃・電気代基本料・通信費等)、変動費は売上・仕入れ量に応じて増減するコスト(食材費・消耗品等)。利益改善の観点ではまず固定費から着手するほうが効果が安定します。

Q. 固定費見直しはどれくらいの頻度ですべき?

年1回(決算前後)が目安。契約の更新タイミングが集まりやすく、削減効果も大きくなります。サブスクの解約は気付いた時点で対応を。

Q. 家賃交渉は本当に成功する?

成功率は地域・大家次第ですが、「周辺相場の調査資料」+「3年以上の良好な賃貸履歴」を持参して交渉すると、月5〜10%下がるケースがあります。更新のタイミングは交渉しやすい機会です。

Q. 電気の新電力切替は本当に安全?

変わりません。電線・変電設備は大手電力会社のものを使うため、停電対応も電力品質も同じ。「安くなったら品質が落ちる」は誤解です。

Q. リース解約は損する?

中途解約は違約金が発生するケースが多いです。契約書を確認し、残債と違約金の合計が削減効果を上回るか試算してから判断を。

まとめ|固定費削減は「見直す」だけで利益が増える

1993年から店舗経営に携わってきて確信しているのは、固定費削減は「事業の中身を変えずに利益が増える」最も確実な手段だということです。

  • 固定費率は売上の30〜40%以内を目標
  • 家賃は売上の10〜15%以内が目安
  • 削減順序:通信・サブスクで見える化→電気代・保険・決済手数料→家賃やリースは更新時に交渉
  • 筆者実績:年間25万円削減(電気・通信・保険・自動車保険)
  • 見直し作業時間:合計8時間(時給換算で年31,250円相当の労働)

「契約を見直す」という1日の行動が、10年で250万円の利益差を生みます。まずは今月の引落明細を見ることから始めてみてください。

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この記事を書いた人

1993年から店長として飲食店の店舗経営に携わり、2005年に独立法人となって現在に至ります。飲食店業界30年以上、法人経営20年以上。固定費削減の年間約19万円は、実際の改善をもとにした概算(電気代約10万円、ガス代約5万円、通信費約3万円、決済手数料約1万円)です。法人カード・ビジネスカード、freee、マネーフォワード、カード自動連携の利用経験はありません。現在は個人向けクレジットカードを事業用途にも利用し、リクルートカードの利用経験があります。

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