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「うちの原価率、高すぎる?それとも普通?」
「仕入れ価格が上がっているのに、値上げできない」
——飲食店オーナーさんから本当によく聞く悩みです。
筆者は30年、実店舗を経営してきた現役の飲食店オーナー。原価率が32%まで上がって利益を圧迫していた時期があり、そこから29%まで3ポイント下げた実体験があります。特別なことは何もしていません。毎月の棚卸しとメニュー設計の見直しだけです。
【結論】原価率の目標と改善の効く順番
- 業界平均:28〜35%(業態で幅あり)
- 目標は自業態平均の下限を維持
- FLコスト(F+L)は売上の60%以内が鉄則
- 原価率1%削減で、月商100万円なら年12万円の利益増
- 改善の効く順番:ロス削減 → 仕入れ交渉 → メニュー設計
📋 この記事でわかること
- 飲食店の原価率の計算方法と業界目安
- 業態別(カフェ・居酒屋・焼肉・定食等)の原価率の違い
- 30年経営者が原価率32%→29%に下げた実践5ステップ
- 原価率1%削減で年間いくら利益が変わるか試算
- FLコスト管理で利益を守る方法
飲食店の原価率とは・計算方法
原価率の計算式
原価率(%)= 食材費 ÷ 売上 × 100
例)月売上100万円・食材費30万円 → 原価率30%
一般的に飲食店の原価率は28〜35%が目安。ただし業態によって大きく異なるので、自業態の平均と比較することが重要です。
業態別の原価率の目安
| 業態 | 原価率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| カフェ・喫茶店 | 25〜35% | ドリンク原価が低い・フードで上がる |
| ラーメン・麺類 | 28〜35% | スープコスト・仕込みロスが影響 |
| 居酒屋・ダイニング | 28〜35% | ドリンク比率が高いと下がる |
| 焼肉・鉄板 | 35〜45% | 肉原価が高い・客単価で補う |
| 寿司・海鮮 | 35〜45% | 鮮魚コストが高い・ロス管理が重要 |
| 定食・大衆食堂 | 30〜38% | 客単価が低い分、原価を抑える必要 |
| テイクアウト・弁当 | 30〜40% | 容器・包材コストが上乗せされる |
自分の店の原価率が業態平均の上限を超えていたら要改善。下限付近で安定させるのが理想です。
原価率1%削減でいくら利益が変わるか
「たった1%」と思うかもしれませんが、月商別の年間利益インパクトを見ると印象が変わります。
| 月商 | 1%削減 | 3%削減 | 5%削減 |
|---|---|---|---|
| 50万円 | 年6万円 | 年18万円 | 年30万円 |
| 100万円 | 年12万円 | 年36万円 | 年60万円 |
| 200万円 | 年24万円 | 年72万円 | 年120万円 |
| 300万円 | 年36万円 | 年108万円 | 年180万円 |
月商100万円の店でも、原価率3%削減=年36万円の利益増。仕入れや廃棄に手を入れるだけで、これだけの金額が手元に残ります。
原価率が高くなる5つの原因
① 仕入れ価格が高い(業者1社依存)
仕入れ先を1社に絞りすぎていると、価格交渉力が弱まります。複数の仕入れ先を比較・使い分けることで、同じ食材でも数%の差が生まれます。
② ロス・廃棄が多い
使い切れない食材の廃棄はそのまま原価率を上げます。仕込み量の見直し・メニューの食材共有化(一食材を複数メニューで使う)が有効です。
③ メニュー設計が利益を考慮していない
原価率が高い料理をメインにすると、客単価が上がっても利益が残りません。原価率の低いドリンク・デザートの注文率を上げるメニュー設計が利益改善の近道です。
④ 値上げができていない
仕入れコストが上がっているのに価格を据え置きしていると、実質的に原価率が上昇します。3ヶ月に1回は仕入れ単価と販売価格を突き合わせ、必要なら段階的な値上げを検討してください。
⑤ 盛り付け・調理の標準化ができていない
スタッフによって盛り付け量が違うと、原価率が日替わりでブレます。レシピカード・計量スプーンでの標準化は地味だが効果大です。
30年経営者の実例|原価率32%→29%に改善した5ステップ
筆者の店(客単価2,800円・席数20)で、実際に原価率を下げた手順を具体的にお伝えします。
ステップ1|月1回の棚卸しをルール化(最重要)
これが一番効きました。月末の棚卸しを必ずやるルールに変えただけで、原価率が32%→30.5%まで下がりました。棚卸しを始めると:
- 在庫過多の食材が見える → 発注量を調整できる
- 廃棄ロスの実額が見える → スタッフの意識が変わる
- 原価率が月次で見える → 改善の成果が即確認できる
ステップ2|仕入れ先を3社に分散
業務用食材卸1社のみだったところに、地元市場・ネット卸を追加して3社体制に。同じ食材でも仕入れ単価に10〜20%の差があることが判明。全体で原価率0.8%減に貢献しました。
ステップ3|廃棄ロスの日次記録
毎日の閉店時に「今日廃棄したもの」をスタッフが記録。これだけで廃棄量が月平均で40%削減。原価率換算で0.7%改善しました。
ステップ4|高原価メニューの整理+ドリンク強化
原価率45%以上のメニュー2品を削除し、代わりに原価率25%のオリジナルドリンクを追加。ドリンク注文率が上昇し、全体の原価率が0.5%下がりました。
ステップ5|盛り付けの標準化
計量スプーン・グラム計を各ポジションに配置。レシピカードを全メニュー分作成。スタッフの盛り付けブレがなくなり、月次の原価率が安定。
5ステップの合計効果
【筆者の店・原価率改善の内訳】
- ステップ1(棚卸し):▲1.5%
- ステップ2(仕入れ分散):▲0.8%
- ステップ3(廃棄記録):▲0.7%
- ステップ4(メニュー設計):▲0.5%
- ステップ5(標準化):安定化(数値効果は間接)
- ——————————————————
- 合計:▲3ポイント(32%→29%)
- 月商140万円の店で年間約50万円の利益増
特別な投資はしていません。「毎月棚卸しする」というルール化が最も効果的でした。
原価率と人件費率のバランス【FLコスト60%以内】
飲食業界ではFLコスト(F:食材費 + L:人件費)が売上の60%以内に収めるのが経営の目安です。
【例】月売上100万円の場合のFLコスト
| 原価率(F)30% | 30万円 |
| 人件費率(L)30% | 30万円 |
| FLコスト合計 | 60万円(60%)← ギリギリの目安 |
| 残り(家賃・光熱費等の固定費) | 40万円以内に抑える必要 |
原価率が高い業態(焼肉・寿司)では、人件費を抑えるかドリンク率を上げることでバランスを取るのが定石。固定費削減も利益を守る重要な手段です。
👉 関連:飲食店の固定費の内訳と削減方法 / 飲食店の人件費率の目安
よくある質問
Q. 原価率30%と35%では年間どれくらい差が出る?
月売上100万円なら、原価率5%差は月5万円・年間60万円の差になります。原価率管理は利益に直結します。
Q. 原価率を下げると料理の質が落ちる?
仕入れ先の見直し・ロス削減・メニュー設計の改善なら、料理の質を落とさず原価率を下げられます。「安い材料を使う」だけが原価削減ではありません。
Q. 仕入れ価格の交渉はどのくらいで下がる?
関係性が築けていれば3〜10%は期待できます。「他社と比較した」「注文量が増えた」などの理由があると交渉しやすい。筆者は年1回、主要食材の見直しを実施しています。
Q. 原価率を月次で見るにはどうすれば?
クラウド会計ソフトと銀行・カード連携が最短。仕入れ代金が自動で集計されます。Excel管理なら、月末に食材費を売上で割るだけでOKです。
Q. 月1回の棚卸しは時間がかかる?
客単価2,800円・席数20の筆者店では月1回2〜3時間で完了します。慣れれば1.5時間。効果(年50万円利益増)を考えれば投資対効果は抜群です。
Q. 業態平均より原価率が低いのに利益が出ない場合は?
人件費率か固定費が高い可能性。FL比率・固定費率も同時に確認してください。
まとめ|原価率は「棚卸し」から始まる
30年経営してきて確信しているのは、原価率改善は「棚卸しをするかしないか」の差が9割ということです。
- 目標は業態平均の下限を維持
- FLコスト60%以内を死守
- 改善順序は棚卸し → ロス削減 → 仕入れ交渉 → メニュー設計
- 原価率1%削減で月商100万円なら年12万円の利益増
「安い材料を使う」以外の方法で原価率は確実に下がります。まずは今月末の棚卸しから始めてみてください。
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