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「人件費が売上の何%なら黒字を維持できる?」
「最低賃金が上がり続けているのに、価格転嫁できない」
——飲食店オーナーさんから本当によく聞く悩みです。
筆者は1993年から店舗経営に携わり、2005年から法人を経営する現役の飲食店オーナーです。経営改善を進めた時期に人件費率を28%から24%へ改善した経験があり、現在は社長本人分を含めて概ね20%です。営業時間、人員配置、予約・イベント対応、システム、メニューなどを組み合わせて見直した経験をお伝えします。
【結論】人件費率の目標と改善の効く順番
- 適正ライン:25〜30%(業態による)
- FLコスト(F+L)は売上の60%以内が鉄則
- 改善項目:営業時間 → 人員配置 → 予約・イベント対応 → システム・メニュー
- 筆者店舗の現在の人件費率は社長本人分を含めて概ね20%
- 人件費率1%削減で月商100万円なら年12万円の利益増
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飲食店の人件費率の目安
人件費率の計算式
人件費率(%)= 人件費 ÷ 売上 × 100
人件費に含まれるもの:給与・パート時給・社会保険料・交通費・福利厚生費
飲食店の人件費率の目安は25〜35%。業態・規模・立地によって異なりますが、まずは以下の4段階で自分の店の位置を確認してください。
| 人件費率 | 状態 | 対応 |
|---|---|---|
| 25%以下 | 優秀・利益確保しやすい | スタッフへの還元・採用強化を検討 |
| 25〜30% | 良好・安定範囲 | 現状維持・シフト見直しで改善余地あり |
| 30〜35% | やや高め・要注意 | シフト見直し・業務効率化が必要 |
| 35%超 | 高すぎ・利益圧迫 | 構造的な見直しが急務 |
業態別の人件費率の目安
| 業態 | 人件費率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| カフェ・喫茶店 | 25〜30% | オペレーションが比較的簡単・1人で回せる |
| ラーメン・麺類 | 20〜28% | 回転率が高い・少人数運営が可能 |
| 居酒屋・ダイニング | 28〜33% | 接客工数が多い・ピーク集中型 |
| 焼肉・鉄板 | 22〜28% | 原価率が高いので人件費は低めに抑える必要 |
| 定食・大衆食堂 | 28〜33% | 調理工数が多い・客単価が低め |
| 寿司・海鮮 | 22〜28% | 原価率高め・職人人件費の一方でPAは少なめ |
| テイクアウト・弁当 | 20〜25% | 接客工数が少ない・効率運営可能 |
業態ごとに目安は違うので、自業態の上限を超えていたら要改善の目安で判断してください。
人件費率1%削減でいくら利益が変わるか
人件費率は原価率と同じで、わずかな改善でも年間の利益インパクトは大きいです。
| 月商 | 1%削減 | 3%削減 | 5%削減 |
|---|---|---|---|
| 50万円 | 年6万円 | 年18万円 | 年30万円 |
| 100万円 | 年12万円 | 年36万円 | 年60万円 |
| 200万円 | 年24万円 | 年72万円 | 年120万円 |
| 300万円 | 年36万円 | 年108万円 | 年180万円 |
月商100万円の店で人件費率3%削減=年36万円の利益増。たった3%で手残りが36万円変わります。
飲食店業界30年以上を経営して分かった人件費率の落とし穴
私は1993年から店舗経営に携わり、2005年から法人を経営しています。昔は、毎月の数字を見るたびに人件費率ばかり気にしていた時期があります。もちろん人件費率は大事ですが、現場で長く続けていると、人件費率が低くても利益が残らない月もあれば、反対に人件費率が少し高くても、売上と客数が伸びて利益が残る月もあります。
例えば、売上100万円で人件費率20%なら人件費は20万円です。一方、売上200万円で人件費率30%なら人件費は60万円になります。率だけ見ると後者の方が悪く見えますが、原価や固定費の増え方によっては、売上200万円の月の方が利益額が残る場合があります。だから私は、人件費率だけで判断せず、利益額、客数、客単価、サービス品質を一緒に見るようにしています。人件費とあわせて店全体の支出を見る考え方は、飲食店の固定費を見直す方法でも整理しています。
現在はAirレジなどで売上、客数、日報を確認しながら、「何曜日の何時に何人必要か」を見るようにしています。感覚だけでシフトを決めるより、数字を見ながら判断した方が、スタッフにも説明しやすくなります。POSレジで売上や客数を確認する流れは、飲食店向けPOSレジの選び方も参考になります。
人件費を削りすぎて失敗したこともある
私も、暇な日にスタッフを減らしすぎたことがあります。一時的に人件費率は下がりましたが、注文提供や片付けが遅れ、接客品質が落ちました。常連さんに「今日は大変そうだね」と気を使わせてしまった場面もあります。
飲食店では、人件費を削ることが必ずしも正解ではありません。大切なのは、削ることよりも忙しい時間帯に集中して配置することです。人件費は単なるコストではなく、売上と満足度を支える投資でもあると考えています。
人件費率が高くなる原因
① 売上に対してスタッフが多すぎる
暇な時間帯・曜日にも一定数のスタッフを配置していると、人件費率が上がります。売上データを分析してピーク・オフピークのシフトを見直すことが基本です。
② 現金管理・レジ作業に時間をかけすぎている
現金の釣り銭準備・日次入金・レジ締め作業はすべて人件費です。キャッシュレス化でこれらの作業時間を削減することが、実質的な人件費削減につながります。
【現金管理にかかる時間】
- 釣り銭準備(銀行往復含む):月1〜2時間
- 日次入金・ATM作業:月2〜4時間
- レジ締め・現金照合:1日15〜30分 × 営業日数
→ 月合計で10〜15時間の人件費コスト
③ 最低賃金の上昇に対応できていない
最低賃金は毎年上昇しています。同じスタッフ数・シフトでも、人件費率は自動的に上がります。価格改定・業務効率化を組み合わせた対応が必要です。
④ オペレーションが標準化されていない
スタッフによって作業スピードが違うと、繁忙時に余分なヘルプが必要になります。マニュアル化・レシピカード・動線整理でベテランと新人の差を埋めることが、人件費率安定の鍵です。
飲食店業界30年以上の経営者の実例|人件費率28%→24%、現在は概ね20%
筆者店舗では、経営全体を見直した時期に人件費率を28%から24%へ改善しました。現在は社長本人分を含めて概ね20%です。アルバイト人件費だけの数字とは区別しています。
ステップ1|営業時間と狙う時間帯を見直す
コロナ以前は深夜24時頃まで営業していましたが、コロナ以降は22時閉店へ変更しました。一次会や比較的早い時間帯のお客様を重視し、少人数でも運営しやすい形へ見直しています。キャッシュレス対応を含む店舗運営については、Airペイを飲食店で使った実体験レビューでもまとめています。
- 深夜帯まで長時間営業する形から22時閉店へ変更
- 早い時間帯のお客様を重視
- 営業時間短縮だけでなく、運営全体を同時に見直す
営業時間短縮だけで人件費率が改善したわけではありません。ほかの取り組みと組み合わせた結果です。
ステップ2|予約・イベントに合わせて人員を配置
現在は基本をアルバイト1名とし、予約やイベント時に必要なスタッフを追加しています。小さな飲食店でPOSレジを使うメリットは、飲食店向けPOSレジの選び方でも詳しく整理しています。
2019年頃まではアルバイト人件費が月約15万円で、イベント時には外注費が発生することもありました。現在のアルバイト人件費は月約2〜3万円ですが、この差はシフト変更だけでなく、営業時間、人員配置、予約中心の運営など複数の変更によるものです。
ステップ3|システムとメニューを見直す
少人数でも運営できるように、店舗のシステムやメニューを見直しました。人を減らすことだけを目的にせず、提供品質と売上を保てる運営方法を考えます。
ステップ4|売上と人件費を一定期間で確認
飲食店の売上は日によって大きく動きます。毎日の数字だけで一喜一憂せず、一定期間の売上、人件費、原価率などを確認し、問題点を洗い出します。
ステップ5|必要なときは増員する
少人数を固定ルールにせず、予約やイベントで必要な日はスタッフを追加します。人件費率を下げることだけでなく、売上機会とサービス品質を守ることも重要です。
複数の見直しを行った結果
【筆者店舗の人件費改善】
- 過去の改善実績:人件費率28%→24%
- 現在:社長本人分を含めて概ね20%
- 2019年頃までのアルバイト人件費:月約15万円(イベント時の外注費が発生する場合あり)
- 現在のアルバイト人件費:月約2〜3万円
- 深夜24時頃までの営業から22時閉店へ変更
以前より短い営業時間・少ないアルバイト人数でも、以前の売上水準を上回る時期になっています。ただし、これは営業時間短縮やシフト変更だけの効果ではなく、予約・イベント運営、システム、メニュー、客層・時間帯の見直しを組み合わせた結果です。
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FLコスト60%以内で利益を守る
飲食業界ではF(原価)+L(人件費)=FLコストを売上の60%以内に収めるのが経営の鉄則です。
- 原価率が高い業態(焼肉・寿司):人件費率を低め(22〜28%)に抑える
- 原価率が低い業態(カフェ・ドリンク主体):人件費に多少余裕を持たせられる
- どちらも中間(居酒屋・定食):原価30%+人件費30%でFL60%維持
自分の業態のFL合計を計算し、60%を超えていたらどちらかを削る判断が必要です。
👉 関連:飲食店の原価率の目安と改善方法 / 飲食店の利益率の目安
よくある質問
Q. オーナー自身の給与は人件費に含める?
個人事業主の場合、オーナー報酬(生活費)は経費計上されないため、実態の人件費率を把握するには「オーナーが時給換算でいくらもらうか」を仮計上するのが正確です。
Q. アルバイトが多いと人件費率は下がる?
時給が低ければ人件費は下がりますが、研修コスト・離職率・サービス品質低下というコストも発生します。単純な時給の安さだけで判断しないことが重要です。
Q. 最低賃金上昇にはどう対応する?
1年に1回はメニュー価格の見直しを。同時に業務効率化(キャッシュレス化・ネット予約・レシピ標準化)でスタッフ1人あたりの生産性を上げるのが王道です。
Q. 社会保険料は人件費に含める?
はい、含めます。給与の15〜20%程度が社会保険料相当です。人件費率を計算する際は、社会保険料も含めて見ると実態に近くなります。
Q. キャッシュレス化で本当に人件費が減る?
キャッシュレス化により現金管理の作業が変わる場合はありますが、筆者店舗の人件費改善をキャッシュレス化だけの効果とは扱っていません。手数料と作業時間の両方を自店の実績で確認してください。
Q. シフト管理ツールは必要?
スタッフ3人以上なら、紙・Excelだけで管理するよりもシフト管理ツールを検討する価値があります。ミスや急な欠勤対応の手間を減らしやすくなります。
まとめ|人件費率は「スタッフを減らす」のではなく「時間を減らす」
1993年から店舗経営に携わってきて確信しているのは、人件費率の改善は「スタッフを減らす」のではなく「無駄な作業時間を減らす」ことです。
- 適正ライン:25〜30%(自業態目安の下限)
- FLコスト:60%以内を死守
- 改善項目:営業時間・人員配置・予約/イベント対応・システム・メニュー
- 筆者実績:過去28%→24%、現在は社長本人分を含めて概ね20%
サービス品質を落とさずに人件費を見直すには、特定施策だけで判断せず、売上データと予約状況を見ながら営業時間・配置人数・業務手順を確認してください。
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