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「人件費を下げたいけど、スタッフを減らすと回らなくなる」「忙しい時間帯は人が足りず、暇な時間帯は人が余っている」「最低賃金の上昇で人件費率が毎年悪化している」
飲食店の人件費問題の多くは、「スタッフの数」ではなく「シフトの組み方」に原因があります。同じ人数でも、売上の波に合わせてシフトを最適化するだけで、人件費率を数%改善できるケースは珍しくありません。
この記事では、売上予測を使ったシフト作成の考え方・時間帯別の適正人員の出し方・シフト最適化の実践ステップを解説します。
筆者は1993年から店舗経営に携わり、2005年から法人を経営する現役の飲食店オーナーです。経営改善を進めた時期に、人件費率を28%から24%へ改善した経験があります。現在は社長本人分を含めて概ね20%です。一方、月商200万円なら月8万円・年96万円の差という金額は説明用のモデル計算で、筆者店舗の実績ではありません。
📌 この記事の結論
- 人件費率の目安は業態別に20〜35%。まず現状値を把握する
- 人時売上高(売上÷総労働時間)で時間帯の非効率が見える化できる
- シフトは「感覚」でなくPOSデータ+売上予測で組む
- 「準備・ピーク・アイドル・片付け」に分け、アイドル人員を絞る
- 筆者(40年現役)は人件費率28→24%に改善。月8万円(年96万円)は月商200万円を仮定したモデル計算
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📋 この記事でわかること
- 飲食店の業態別適正人件費率と計算方法
- 「人時売上高」で非効率を見抜く方法
- シフトの非効率が起きる3つの原因
- 売上予測に基づくシフトの組み方(3STEP)
- 人件費率を下げる実践5つのポイント
- 飲食店業界30年以上の経営者が人件費率4ポイント下げた実体験
飲食店の適正人件費率
まず自店の人件費率の現状を把握します。
人件費率の計算式
人件費率 = 人件費合計 ÷ 売上高 × 100
社員給与・アルバイト時給・社会保険料・賞与をすべて含める
| 業態 | 適正人件費率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ファストフード・テイクアウト | 20〜25% | 回転が速く人時売上が高い |
| ファミリーレストラン・カフェ | 25〜30% | 客単価と回転のバランス重視 |
| 居酒屋・夜営業中心 | 28〜33% | 客単価は高いが接客工数が多い |
| 高級・フルサービス | 30〜35% | 接客品質のために人員が多い |
人件費率が目安より5%以上高い場合は、シフト管理の見直しが有効です。逆に低すぎる場合は人手不足による品質低下やスタッフへの過負荷が起きていないか確認が必要です。
🔥 飲食店業界30年以上の経営者のリアル体験|人件費率4ポイントダウンの道筋
筆者店舗では、経営全体の見直しを進めた時期に人件費率を28%から24%へ改善しました。現在は社長本人分を含めて概ね20%です。改善はシフト変更だけによるものではなく、次の取り組みを組み合わせた結果です。
- 深夜24時頃までの営業から22時閉店へ変更
- 基本はアルバイト1名とし、予約やイベント時に必要なスタッフを追加
- 一次会・比較的早い時間帯のお客様を重視
- システムやメニューを見直し、少人数でも運営しやすい形へ変更
人件費率28%→24%は筆者店舗の過去の改善実績です。月商200万円の場合に人件費が月56万円から48万円となり、月8万円・年96万円の差になるという金額部分はモデル計算です。現在の人件費率約20%には社長本人分も含まれ、アルバイト人件費とは別の指標です。
「人時売上高」で効率を測る
人件費率だけでなく、人時売上高(にんじうりあげだか)も重要な指標です。
人時売上高の計算式
人時売上高 = 売上高 ÷ 総労働時間数
「1時間あたりいくら売り上げたか」を示す指標
たとえば売上100万円・総労働時間200時間なら人時売上高は5,000円。最低賃金1,100円の地域で人件費率を30%以内に収めるには、人時売上高を最低3,600円以上(時給÷目標人件費率)に保つことが目標になります。
この数字を時間帯・曜日別に計算すると、「どの時間帯が非効率か」が具体的に見えてきます。
シフトの非効率が起きる3つの原因
① 「感覚」と「習慣」でシフトを作っている
- 「いつもこの曜日はこの人数」という固定パターンに頼っている
- 実際の売上・来客数データを見ずに前回のシフトをそのまま繰り返す
- 特定スタッフのシフト希望を最優先して組み、結果として繁忙に対応できない
② 「開店から閉店まで同じ人数」という組み方
- 飲食店の来客は時間帯によって大きく波がある(昼ピーク・夜ピークなど)
- 閑散時間帯にも繁忙時と同じ人数を配置すると「待機コスト」が膨らむ
- 準備・片付けの時間帯と営業時間帯を区別してシフトを分けることが基本
③ 売上の波が読めていない
- 曜日・天候・イベント・月の前半後半による売上変動を把握していない
- 繁忙期と閑散期で同じシフトを組んでいる
- POSレジやシフト管理システムのデータを活用できていない
売上予測に基づくシフトの組み方|3ステップ
シフト最適化の基本は、「売上予測 → 必要人員数の計算 → シフト作成」という順序で考えることです。
STEP 1:過去の売上データを時間帯・曜日別に集計する
POSレジの売上データを使い、以下を把握します。
- 時間帯別の客数・売上(例:11〜12時、12〜13時…と1時間ごと)
- 曜日別の売上傾向(月〜日で売上がどう変化するか)
- イベント・特日(連休・年末年始・近隣イベント)の売上パターン
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STEP 2:目標人時売上高から必要人員数を逆算する
目標とする人時売上高を設定し、時間帯ごとの予測売上からその時間に必要な人数を計算します。
計算例:ランチタイム(12〜13時)
- 予測売上:80,000円(過去データの平均)
- 目標人時売上高:4,000円
- 必要総労働時間:80,000 ÷ 4,000 = 20人時分
- ピーク1時間に20人は非現実的 → 前後の準備・後片付けを含めた2〜3時間に分散して配置
- 11:00〜14:00の3時間に20人時=平均6〜7人の配置が適正
このように数字を使って「何人必要か」を計算することで、感覚ではなく根拠を持ってシフトを組めます。
STEP 3:時間帯を「準備・ピーク・アイドル・片付け」に分ける
| 時間帯区分 | 内容 | 適正人員 |
|---|---|---|
| 準備(開店前1〜2時間) | 仕込み・清掃・開店準備 | 最小限(コア人員のみ) |
| ピーク(昼・夜の繁忙) | 接客・調理が集中する時間帯 | 最大人員を集中配置 |
| アイドル(中休み・閑散) | 来客が少ない時間帯 | 最小限(退勤調整・休憩) |
| 片付け(閉店後) | 清掃・仕込み・閉店作業 | 最小限(コア人員のみ) |
シフト最適化の実践5つのポイント
① 「中抜けシフト」でアイドルタイムの人件費を削減する
ランチとディナーの間(14〜17時など)の閑散時間帯に全員を拘束するのではなく、一部スタッフを退勤させ、ディナー前に再出勤する中抜けシフトも選択肢です。スタッフの同意と適切な労務管理を前提に、自店の営業時間と予約状況に合うか確認してください。
② 曜日ごとにシフトのパターンを分ける
- 平日・土曜・日曜祝日の3パターンを最低限設定する
- 月曜日は売上が低い業態が多く、金〜日は売上が高い傾向がある
- 各パターンに「何人配置するか」の目安を決め、それをベースに毎週のシフトを調整する
③ マルチタスクスタッフを育てて柔軟性を高める
「ホールしかできない」「厨房しかできない」という固定化は、シフトの柔軟性を下げます。ホールと厨房の両方をこなせるスタッフを育てることで、ピーク時間帯に応じて役割を変えられるようになります。少人数でも対応できる幅が広がります。
④ シフト提出を早める・スワップの仕組みをつくる
- シフト希望は2週間前までに提出ルール化 → 組み直しが発生しにくくなる
- スタッフ同士でシフト交換できる仕組み(連絡グループ・シフト管理アプリ)を作る
- 急欠対応のために「当日呼べる候補リスト」を管理しておく
⑤ 週次でシフトの実績を振り返る
シフトを組んで終わりではなく、「予測売上 vs 実際の売上」「配置人数 vs 実際に必要だったか」を一定期間ごとに振り返ることが大切です。筆者も毎日の売上だけで一喜一憂せず、一定期間の数字とデータから問題点を洗い出すことを重視しています。
売上データとシフトを連動させるツール
シフト最適化を継続するには、売上データを簡単に確認できる仕組みがあると大きく変わります。
| ツール種別 | 活用方法 |
|---|---|
| クラウドPOSレジ(スマレジ等) | 時間帯別・曜日別の売上・客数をリアルタイム確認。シフト作成の根拠データとして活用 |
| シフト管理アプリ | スタッフのシフト希望収集・承認・共有を効率化。紙・LINEより管理漏れが減る |
| 勤怠管理システム(タイムカード) | 実際の出勤時間・残業時間を記録。予定シフトとの差異を把握して次回に活かす |
| 会計ソフト(マネーフォワード等) | 人件費合計を月次で自動集計。人件費率の推移を確認してシフト改善の効果を測定 |
よくある質問
Q. スタッフを減らさずに人件費を下げることは本当にできますか?
人件費は「人数 × 時間 × 時給」で決まるため、人数を減らさなくても、アイドルタイムの配置時間を見直すことで総労働時間を調整できる場合があります。筆者店舗の人件費率28%→24%は、シフトだけでなく営業時間、人員配置、予約・イベント対応、システム、メニューなどをまとめて見直した結果です。
Q. 中抜けシフトはスタッフに嫌がられませんか?
中抜け(分割勤務)はスタッフによって受け止め方が異なります。強制せず、本人の希望や休憩・拘束時間などの労務管理を確認し、スタッフにとっても無理のない形にすることが大切です。
Q. 最低賃金が上がり続けています。シフト管理以外に対策はありますか?
シフト最適化と並行して、オペレーションの効率化・自動化も重要です。注文をセルフオーダー(タブレット注文)にする・食洗機・自動調理機を活用するなど、同じ売上を少ない工数で出せる仕組みを作ることが、最低賃金上昇への根本的な対策になります。青色申告なら30万円未満の設備を一括経費化できるので、導入コストの節税効果も大きいです。
Q. 小規模(2〜3名体制)の店舗でもシフト最適化は意味がありますか?
少人数店舗こそ、1人あたりの影響が大きいため重要です。「開店から閉店まで2人」という固定シフトでも、準備と片付けの時間帯だけ1人に絞るだけで月数万円の差になります。また、繁忙日に絞って1人追加するなどピンポイントの調整が人件費管理の基本になります。
Q. シフト変更が多い飲食店で管理効率を上げる方法は?
スマレジ・タイムカード等のクラウド勤怠管理を導入すると、スタッフがスマホからシフト希望を提出・交換申請・打刻までできます。紙のシフト表やLINEグループで管理する時代は終わりつつあります。集計も自動なので、オーナーの工数が月数時間〜数十時間単位で削減されます。
まとめ|シフトは「データと数字」で組む
- 人件費率の目安は業態によって20〜35%。まず現状値を計算する
- 人時売上高を指標にすると、時間帯ごとの非効率が見えやすい
- シフトは「感覚」でなく売上予測に基づいて組む
- 時間帯を「準備・ピーク・アイドル・片付け」に分け、アイドルタイムの人員を絞る
- 曜日・繁閑ごとにシフトパターンを分け、週次で振り返る習慣をつくる
- POSレジの売上データと会計ソフトを活用して数字で管理する
シフト最適化は一度やって終わりではなく、データを積み重ねながら精度を上げていくものです。まず直近1ヶ月の時間帯別売上を確認することから始めてみてください。筆者の経験上、3ヶ月続けると人件費率が明確に変わり始めます。
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