飲食店の会計ソフト選びで、よく迷うのがfreeeとマネーフォワードのどちらを選ぶかです。
どちらも有名なクラウド会計ソフトなので、料金表や機能表だけを見ると「結局どっちでもいいのでは?」と思うかもしれません。
ただ、飲食店業界30年以上を経営してきた立場から言うと、会計ソフトは単なる確定申告ソフトではありません。日々の売上、仕入れ、カード払い、現金残高、税金の準備をどう見える化するかに関わる、かなり実務的な道具です。
筆者本人はfreee、マネーフォワードのどちらも使用していません。本記事は各社の公開情報をもとに比較しています。飲食店にとって大事なのは「機能が多いか」だけでなく、自分の店のお金の流れを毎月確認し続けられるかです。
この記事では、既存の会計ソフト総合比較とは別に、freeeとマネーフォワードの2つに絞って、飲食店オーナー目線で向き不向きを整理します。
会計ソフト全体の候補を広く見たい方は、先に飲食店におすすめの会計ソフト比較も参考にしてください。
結論|飲食店ならfreeeとマネーフォワードはどっち?
先に結論を言うと、飲食店でfreeeとマネーフォワードを選ぶなら、次の考え方で十分です。
| 店舗・経営者のタイプ | 向いている会計ソフト | 理由 |
|---|---|---|
| 経理が苦手で、画面の案内に沿って進めたい | freee | 操作の流れがわかりやすく、初心者が迷いにくい |
| 口座・カード・売上データを連携して毎月確認したい | マネーフォワード | お金の流れを整理して見やすい |
| スマホ中心でレシート処理をしたい | freee | 直感的に入力しやすい |
| PCで月次の数字を見ながら経営判断したい | マネーフォワード | 通帳・カード・経費の流れを追いやすい |
| 税理士とデータを共有しながら管理したい | 税理士が慣れている方 | 実務では税理士側の対応ソフトも重要 |
銀行口座、カード、入出金の確認を重視する場合は、マネーフォワードも比較候補になります。
理由は、売上よりも「お金の流れ」を見たかったからです。飲食店では、売上、仕入れ、カード支払い、税金、キャッシュレス入金のタイミングがすべてずれます。
売上表だけを見ていると黒字に見えても、通帳残高を見ると支払いで一気に減っていることがあります。各サービスの口座・カード連携や資金繰りの確認方法を比べてください。
freeeが向いている飲食店
freeeが向いているのは、経理に苦手意識が強い飲食店オーナーです。
飲食店の現場では、会計用語に慣れていない経営者も多いです。「借方」「貸方」「勘定科目」と聞いただけで、もう後回しにしたくなる方もいると思います。
freeeは、会計用語をできるだけ意識せず、画面の流れに沿って処理しやすい設計です。レシート登録、売上入力、銀行口座やカード明細の取り込みなどを、直感的に進めたい人には合いやすいです。
- 開業したばかりの個人店
- 経理や会計用語が苦手
- スマホでレシート処理をしたい
- まずは確定申告を楽にしたい
- 画面の案内に沿って進めたい
- 税理士に丸投げする前に、自分でも最低限把握したい
特に、開業初期の飲食店では、売上管理、仕入れ、スタッフ対応、SNS、メニュー作りまで店主が抱えがちです。経理ソフトの操作でつまずくと、数字を見る習慣そのものが続きません。
「とにかくわかりやすい方がいい」「スマホ中心で進めたい」という方は、freeeを試す価値があります。
マネーフォワードが向いている飲食店
マネーフォワードが向いているのは、銀行口座、クレジットカード、キャッシュレス決済、仕入れ支払いなどをまとめて確認したい飲食店です。
飲食店は、毎月のお金の出入りが複雑です。現金売上、カード売上、QR決済、仕入れ、家賃、水道光熱費、人件費、税金、社会保険料が、それぞれ違うタイミングで動きます。
マネーフォワードには、銀行口座やカード明細を連携し、毎月のお金の流れを確認するための機能があります。筆者本人の利用体験ではないため、対応先や設定方法は公式情報で確認してください。
- 銀行口座やカード明細をしっかり連携したい
- PCで毎月の数字を確認したい
- 税理士と連携しながら管理したい
- キャッシュレス決済やカード払いが多い
- 固定費や経費の推移を見たい
- 資金繰りを毎月確認したい
小さな店でも、キャッシュレス比率が上がると、入金日と売上日のズレが出ます。仕入れをカードで払えば、支払日はさらに後ろへずれます。AirペイとSquareでは入金サイクルや使い勝手が異なるため、導入前にAirペイとSquareの違いを比較した記事も確認しておくと、会計ソフト側で見る数字をイメージしやすくなります。
このズレを見える化しておかないと、「売れているのにお金が足りない」という状態になります。こうしたお金の流れを毎月見たい人には、マネーフォワードが合いやすいです。
料金だけで選ばない方がいい理由
freeeとマネーフォワードを比べるとき、月額料金は気になります。
ただ、飲食店の場合、数百円から数千円の差だけで選ぶのはおすすめしません。
たとえば、会計ソフト代を月1,000円安くできても、経理作業に毎月2時間余計にかかるなら、現場目線では損です。
飲食店オーナーの1時間は、仕込み、接客、メニュー改善、スタッフ教育、原価管理に使えます。特に小さな店では、店主の時間が一番貴重です。
会計ソフトは「安いか」だけでなく、次の視点で選ぶべきです。
- 毎月開いて確認できるか
- レシート処理が苦にならないか
- 銀行口座やカード明細を確認しやすいか
- 税理士とやり取りしやすいか
- 資金繰りの判断に使えるか
料金プランは変更されることがあります。契約前には必ずfreee、マネーフォワードそれぞれの公式サイトで最新料金を確認してください。
税理士との相性は必ず確認する
会計ソフトは、自分だけで完結するものではありません。
税理士に依頼している場合、その税理士がfreeeとマネーフォワードのどちらに慣れているかはかなり重要です。
自分ではfreeeが使いやすいと思っても、税理士側がマネーフォワード中心なら、データ確認や修正に時間がかかることがあります。逆も同じです。
筆者は記帳や申告を専門家へ依頼していますが、マネーフォワードを共有しているわけではありません。専門家へ依頼している場合は、対応ソフトやデータの渡し方を事前に確認してください。
契約前に税理士へ、次のように聞いておくと失敗しにくいです。
- freeeとマネーフォワードなら、どちらが対応しやすいですか?
- 毎月どのデータを見てもらえばいいですか?
- カード明細や口座連携はどう設定すればいいですか?
- 飲食店の現金売上はどう管理すればいいですか?
会計ソフトは、自分の使いやすさだけでなく、税理士との連携まで含めて選ぶのが実務的です。
事業用カードと会計ソフト連携はセットで考える
飲食店の経理で大事なのは、会計ソフトを入れることだけではありません。
事業用カードと個人カードを分けることも、かなり大切です。
小さな飲食店では、仕入れ、備品、ネット注文、ガソリン代、通信費などをカードで払う場面が増えます。このとき、個人用の買い物と事業用の支払いが混ざると、会計ソフトに連携しても確認作業が大変になります。
freeeでもマネーフォワードでも、カード明細を連携する前に、まずカードを分けておくことが重要です。
カードの分け方で迷う方は、法人カードと個人カードをどう使い分けるかも参考にしてください。
会計ソフトと支払方法のルールをセットで整えると、経費を確認しやすくなります。事業用カードは必須ではなく、私用と事業用を区別できる運用を決めることが大切です。
マネーフォワードを比較するときのポイント
会計ソフト連携で月末確認を整理する
マネーフォワードを比較する場合は、操作画面の好みだけでなく、口座やカード、毎月の資金繰りをどう確認できるかも見ておきます。
通帳、カード明細、現金売上、仕入れの請求書を別々に確認すると、月末の作業が煩雑になりやすくなります。
銀行口座やカード明細を連携すると確認先をまとめられる場合がありますが、筆者本人の正確な作業時間は確認できていません。
もちろん、仕訳内容の確認や領収書の保存は必要です。それでも、ゼロから数字を拾い集める作業が減ったことは大きな違いです。
会計ソフト代が月1,000円安くても、毎月2時間余計に経理作業がかかるなら、飲食店の現場ではあまり得とは言えません。
飲食店業界30年以上を続けてきた実感では、会計ソフトは料金だけでなく、毎月のお金の流れを無理なく見続けられるかで選ぶべきです。
実際には、どちらのソフトでも帳簿は作れます。
飲食店では「確定申告書を作れるか」だけでなく、「毎月の資金繰りを確認しやすいか」も重要な比較軸です。
飲食店は売上だけでなく、仕入れ、人件費、家賃、税金、カード支払いなど、お金の流れを把握する必要があります。
毎月の口座残高やカード利用状況をまとめて見たい場合は、マネーフォワードの機能を確認してください。
筆者本人はマネーフォワードを選択・利用した経験はありません。
理由は、売上よりも「お金の流れ」を見たかったからです。
飲食店では、売上、仕入れ、カード支払い、税金、キャッシュレス入金のタイミングがすべてずれます。
売上表だけを見ていると黒字に見えても、通帳残高を見ると支払いで一気に減っていることがあります。
その流れを毎月どう確認できるかは、各社の画面や連携機能を比較して判断してください。
もちろんfreeeにも良さがあります。経理に苦手意識がある方や、スマホ中心で直感的に進めたい方にはfreeeの方が合う場合もあります。
大切なのは、どちらが有名かではなく、自分の店のお金の流れを毎月見続けられるかです。
飲食店の経理で大切なのは「お金の流れ」を見ること
飲食店の経理で本当に大切なのは、決算書をきれいに作ることだけではありません。
もちろん確定申告や決算は大事です。しかし、店を続けるうえでは、毎月のお金の流れを見ることの方が現場では重要です。
売上がある月でも、次の支払いが重なると通帳残高は一気に減ります。
- 仕入れ代金
- 人件費
- 家賃
- 電気代・ガス代・水道代
- カード引き落とし
- 税金・社会保険料
- キャッシュレス決済の入金タイミング
これらを見ずに売上だけで判断すると、「今月は儲かったはずなのにお金がない」という状態になります。
資金繰りの基本は、飲食店の資金繰りを改善する基本でも詳しくまとめています。
また、キャッシュレス決済を導入している店では、決済手数料が利益に与える影響も、会計ソフトで毎月確認したい数字のひとつです。売上データの入口を整えるなら、飲食店向けPOSレジの選び方もあわせて見ておくと、会計ソフトとのつながりを考えやすくなります。
会計ソフトは、税金のためだけに使うものではありません。店のお金の流れを早く見て、判断を遅らせないための道具です。
freeeとマネーフォワードを試す時のチェックポイント
迷ったら、両方の無料トライアルやデモ画面で実際に触ってみるのが一番確実です。
比較記事を何本読んでも、実際に使うと印象が変わります。特に飲食店では、自分のレシート、自分のカード明細、自分の銀行口座に近い流れで試すことが大切です。
- レシート登録が苦にならないか
- 銀行口座の明細を見やすいか
- カード明細の確認がしやすいか
- スマホで使うか、PCで使うか
- 税理士と共有しやすいか
- 月1回、数字を見続けられそうか
会計ソフト選びで大事なのは、最初の印象よりも「続けられるか」です。
疲れた営業後でも開けるか。月末に確認する気になるか。税理士に聞かれた時にすぐ見せられるか。ここを基準に選ぶと、失敗しにくくなります。
比較表だけで決めると見落としやすいこと
freeeとマネーフォワードを比べると、どうしても料金、機能数、連携数といった表の項目に目が行きます。
しかし飲食店の現場では、比較表に出ない部分の方が意外と大事です。
たとえば、営業後に疲れている状態でレシートを処理できるか。月末に通帳残高とカード明細を見て、来月の支払いを想像できるか。スタッフや家族に経理の一部を任せる場合、画面を見せて説明しやすいか。
こうした部分は、料金表だけではわかりません。
会計ソフトを入れるだけで経理が完璧になるわけではありません。明細の確認や勘定科目の判断は残ります。毎月数字を確認し、どの支払いが増えているのか、どの月に現金が薄くなるのかを見る運用が必要です。
飲食店の会計ソフト選びでは、きれいな比較表よりも、自分が毎月開いて数字を見続けられるかを重視してください。
まとめ|自分の店で続けられる方を選ぶ
freeeとマネーフォワードは、どちらも飲食店で使える会計ソフトです。
経理が苦手で、画面の案内に沿って進めたいならfreee。銀行・カード・売上データを見ながら管理したいならマネーフォワード。
筆者本人にマネーフォワードの利用経験はありません。飲食店では、売上だけでなく、仕入れ、固定費、カード払い、税金、入金タイミングまで確認して資金繰りを考える必要があります。
大事なのは、比較表で勝っているソフトを選ぶことではありません。自分の店で毎月使い続けられるソフトを選ぶことです。
まずはfreeeとマネーフォワードの両方を確認し、自分の店の経理の流れに合う方を選んでください。
